会社設立から株式公開までのトピックス:ACアウトソーシング株式会社 佐久間公認会計士事務所

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(会社設立〜株式公開)のトピックス


ACアウトソーシング佐久間公認会計士事務所
会社設立の際の消費税節税戦略
  • 有限会社の場合、設立時には課税業者に該当しません。従って、原則として、消費税の届出書は不要であり、消費税を納付する必要もありません。ただし、会社設立初年度に赤字が見込まれる場合や、店舗開設等の設備投資が発生する場合には、消費税の還付の可能性があります。この場合には、課税事業者選択届出書を提出して還付金を入手すべきです。
  • 株式会社の場合、設立時から課税業者に該当します。この場合、簡易課税事業者を選択するかもしくは本則課税事業者を選択する必要があります。
  • 簡易課税事業者の場合、消費税の計算が売上金額に決められた割合を乗じて計算するので会計・税務処理が簡単です。一方で、消費税の還付はありません。
  • 本則課税事業者の場合、帳簿の記載要件が厳しく、会計・税務処理が複雑ですが、会社設立初年度に赤字が見込まれる場合や、店舗開設等の設備投資が発生する場合には、消費税の還付の可能性がありますので、本則課税事業者を選択して還付金を入手すべきです。

 

以上のように、会社設立にあたっては、有限会社か株式会社かおよび設備投資等の事業計画によって消費税が還付になるか納税義務が発生するか大きな差が生じますので、届出書の提出には注意が必要です。

 
AC アウトソーシング トピックス

(会社設立〜株式公開)

会社設立の際の消費税節税戦略

会社設立のステップ

株式会社を資本金1円で設立する

赤字会社の税務戦略

資本政策―株価の算定方法

中小企業金融安定化特別保証制度の改正


ACアウトソーシング 他のトピックス

(企業経営にかかわる税法、
会計、商法等の解釈と活用法)

個人事業と法人会社設立の収支分岐

会社を分割した場合の節税効果

IT投資促進税制の有利選択

外国人の雇用に関する税務

役員から会社への貸付金を資本金に振り替える増資

減資を検討したほうがよいケース

デット・エクイティ・スワップ

 
 

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会社設立のステップ

株式会社を設立する場合

ステップ1.最初に決めておくべき事項
  • 会社名(商号)
  • 会社の目的
  • 本店所在地
  • 取締役3名、監査役1名
  • 取締役のうち、代表取締役となる者
  • 株主(出資する者とその割合)1,000万円以上
ステップ2.商号調査

ステップ1が決定したら、本店所在地の登記所に、設立する会社と同一の会社名(商号)が既に登記されているか調査します。仮に会社名が同一で会社の目的も同一であれば、その商号はその地域(東京であれば区)では、登記することができず別の会社名にしなければなりません。もっとも、会社名が同じでも会社の目的が異なれば登記することが認められます。

ステップ3.会社代表印の手配と定款の作成

ステップ2.の商号調査の結果、会社名が登記できると判明してから会社代表印の手配をし、会社の定款を作成します。定款は、商法に規定する絶対的記載事項と任意的記載事項があり法定の要件を満たすことが必要です。

ステップ4.公証人役場で定款の認証を受ける

定款を作成したら、公証人役場で定款の認証を受けます。この際必要になるものは、

  • 定款 3通
  • 発起人の印鑑証明書 
  • 収入印紙4万円と認証手数料5万円
ステップ5.出資金払込手続

定款の認証を受けたあとで銀行に出資金払込手続に行きます。この際必要になるものは、

  • 定款 謄本(銀行確認用)
  • 定款 コピー(銀行提出用)
  • 発起人の印鑑証明書 
  • 株式払込事務取扱委託書(銀行に備え付けがあり、銀行窓口で記載できる)

この際、銀行にいつ出資金を振込むか、振込確認後、銀行がいつ株式払込金払込保管証明書を発行できるか確認しておく必要があります。 なお、出資金は、振込後、登記完了までは引き出して使うことはできなくなりますので資金繰りと事業展開のスケジュールに注意が必要です。

ステップ6.登記所に登記申請

銀行から株式払込金払込保管証明書を入手したら、登記申請書を作成して登記申請を行います。この際必要になるものは、

  • 設立登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款(謄本)
  • 株式払込金払込保管証明書
  • 取締役会議事録
  • 取締役、監査役の調査書
  • 取締役及び監査役の就任承諾書
  • 代表取締役の印鑑証明書
  • 登記用紙と同一の用紙
  • 印鑑届書
  • 登録免許税 5万円

登記所に登記を申請してから審査が終了するまでに登記所にもよりますが2−3週間かかります。

ステップ1から5までは急げば、3日程度で完了すると思います。ただし、銀行が繁忙期になると保管証明書の発行に時間がかかります。

登記申請から審査が終了するまでは2−3週間かかりますので、会社として銀行口座を開設して取引が始められるまでには、約1ヵ月かかると考えていただければよいと思います。

登記完了後は、以下に開業開始届等の書類の提出が必要になります。
  • 税務署
  • 都税事務所
  • 労働基準局
  • 職業安定所
  • 社会保険事務所
 
 

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株式会社を資本金1円で設立する

株式会社の設立に当たっては、資本金は最低1,000万円必要です。一方、新事業創出促進法の改正により、今まで事業を営んでいない個人が、新たに会社を設立しその新会社で事業を行おうとする個人(創業者)であって、2か月以内にその事業の具体的計画をもっていることを経済産業大臣に申請して、確認を受けて設立する会社については、設立から5年間は最低資本金規制が猶予される結果、設立当社は、資本金1円の株式会社をつくることが可能です。

要件
  1. これまで事業を営んでいない個人が創業者であることが必要です。
    その証明として、以下の資料を産業経済局に提出する必要があります。
    • サラリーマンであれば、源泉徴収票の写し
    • 学生、専業主婦であれば、健康保険被保険者証の写し
    • 会社退職者は、離職票の写し
    • 会社の代表権のある役員を辞任した者であれば、会社の登記簿謄本
  2. 個人事業主は、既に開業して事業を営んでいるため、創業者に該当しません。
    ただし、以前個人事業主をしていた人で申請前に廃業している場合には、事業を営んでいない者になります。
    その証明として、以下の資料を産業経済局に提出する必要があります。
    • 廃業の際に税務署に提出した廃業届

 

設立手続
  1. 発起人の決定・基本事項の決定
    ↓ 発起人、社名、目的、本店所在地、役員、資本金を決定する
  2. 法務局にて類似商号の調査
    ↓ 本店所在地管轄の法務局にて類似商号がないか調査する
  3. 会社代表印の作成、個人印鑑証明の取得
  4. 定款の作成
  5. 公証人役場にて定款認証
  6. 経済産業局に最低資本金規制特例適用の申請
    ↓ サラリーマンであれば、源泉徴収票の写しが必要
  7. 銀行預金口座に資本金振込
  8. 法務局に設立登記申請
  9. 諸官庁に各種届出書の提出
    経済産業局、税務署、社会保険事務所に各種届出書の提出

経済産業局への最低資本金規制特例の申請用紙、Q&Aについては、下記の経済産業局のHPが役に立ちます。
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/sogyo/index_tokurei.html

 

コメント/活用戦略
メリット
  • “株式会社”というブランドが設立当時あったほうがよい場合で手元に資本金が1,000万円ない場合
  • “株式会社”で資本金1千万円以上であると、設立当初2年間は自動的に消費税課税事業者となるが、設立当初資本金1千万円未満で株式会社を設立すると消費税が免税となる
デメリット
  • 通常の有限会社、株式会社設立と比較して経済産業局での承認が必要なため、時間と手間がかかる
  • 資本金を除いた会社設立費用は、株式会社を設立する場合と比較してあまりかわらない
  • 5年内に資本金を1千万円にしないと解散することになる
 
 

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赤字会社の税務戦略

赤字会社である場合に考慮すべき税務上の留意点には次のような事項があります。

A.消費税

消費税について、還付の可能性がありますが、簡易課税事業者を選択していた場合には、還付を受けることができません。今後の事業の状況と設備投資計画により、簡易課税の取止めて本則課税にするか検討します。簡易課税を一度選択すると、その選択から2年間は変更できません。取止める場合には、取止めを開始する事業年度開始の前日までに税務署に「簡易課税選択不適用届出制度」を提出します。

B.法人税

繰越欠損金の処理と活用

繰越欠損金の要件は、

  • 欠損金が生じた事業年度で青色申告書を提出している
  • その後、無申告の事業年度がない(無申告の事業年度があるとその後の事業年度で繰越控除できない)

上記の条件のもとに、欠損金は5年間繰越すことができます。したがって、赤字会社であっても、申告期限内(原則として決算期から2ヵ月以内)に青色法人申告書を提出するようにすべきです。

決算対策による費用計上の縮減

基本的な考え方は、税務上、費用計上が任意規定である項目について当期に費用計上を見送るものと資産計上が認められる項目について費用計上せずに資産として計上するものです。

短期的には、税務上有効な対策であると考えられます。ただし、あくまで税務上認められた任意規定を活用するもので、会計上は認められないものがあります。非公開企業には有効であっても、株式公開を念頭においた企業にあっては行うべきではない会計処理が大部分であることに留意が必要です(むしろ、公開を目指す企業で、以下の会計税務処理を行っていた場合には、監査法人の監査で指摘され修整を求められます。過年度の決算書を訂正するには株主総会決議が必要です。)

  • 消耗品費を消耗品に資産計上する
  • 賃借料、保険料、支払利息を前払費用に計上する
  • 修繕費を資本的支出にする
  • 試験研究費・開発費を繰延資産計上する
  • 固定資産の減価償却を行わない(税法上は固定資産の償却は任意)
  • 繰延資産の償却を行わない(税法上は繰延資産の償却は任意)

資産処分による対策

・含み益のある不動産・有価証券の売却

第三者に売却できない場合、関係会社や役員へ売却する方法もあります。税務上は、譲渡価額に留意することが必要です。株式公開を念頭においた企業にあっては、関係会社間取引については十分な留意が必要です(監査法人の指摘事項となる可能性があります)。

役員の相続税対策を兼ねた対策

・役員から金銭の贈与を受ける

個人から法人への贈与により譲渡所得の起因となる資産の移転があった場合譲渡があったものと見なされます。一方で金銭はみなし譲渡の対象にならないことから、例えば、繰越欠損金が1億円ある会社に役員が1億円の金銭を贈与しても役員には所得税が課せられないことを利用して相続税の節税効果をはかるものがあります。

・役員から債務免除を受ける

役員から法人が借入をしている場合、役員が債権放棄した場合、みなし譲渡の対象にならず、所得税が課せられない事を利用して相続税の節税効果をはかるものがあります。

また、M&Aで繰越欠損金がある会社の売買の際に、役員から法人が借入をしている場合、債務免除を受けるのはよく使われる手法です。

組織変更による対策

・営業譲渡

含み益のある資産または営業権を合理的に評価できる場合に営業譲渡による利益により繰越欠損金の控除を検討する方法があります。

・逆さ合併

欠損金のある赤字会社が黒字会社を吸収合併する方法です。ただし、逆さ合併を行うことに合理的理由が必要であり、租税回避を意図した逆さ合併の場合には、繰越欠損金の損金算入を否認された判例があり、十分な留意が必要です。

 
 

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資本政策―株価の算定方法

資本政策を考える前提として、株価を算定する必要があります。

株価に関する法律上の規定には以下のものがあります。

  • 相続税法:財産評価基本通達(179−189)
  • 法人税法:直接の条文はありません。
  • (一般には、売買事例や純資産価格等を考慮した価額や相続税法上の財産評価基本通達を準用しています。)

  • 所得税法:法人税法とほぼ同じスタンスです。
  • (相続税法上の財産評価基本通達準用していませんが、贈与税が適用されるため、結果としては同じことになります。)

  • 公開規制:開示対象期間中の株価算定方式(日本証券業協会例示)
  • 純資産方式

    ・簿価純資産方式

    ・時価純資産方式(法人税等控除方式)

    ・時価純資産方式(法人税等非控除方式)

    収益方式

    ・収益還元法

    ・デイスカウントキャシュフロー法

    配当方式

    ・配当還元法

    ・ゴードンモデル法

    比準方式

    ・類似会社比準方式

    ・類似業種比準方式

    取引事例法式

    併用法式

株式の価値を何をもって測定するのかを統一した基準はありません。つまり、株式の価値がある人にとっては、現在の会社の資産であるとする場合には純資産方式で計算すべきであり、投資家として配当を期待するのであれば配当方式で計算すべきであり、将来の期待収益に価値を求めるのであれば、デイスカウントキャシュフロー法で計算すべきです。

例えば、非公開会社の事業承継や相続であれば、相続税法に定める財産評価基本通達に基づいて計算することになります。

一方、M&Aの場合には、寄付金/受贈益で課税されないよう法人税法・所得税法の規定に留意しつつ、簿価純資産方式もしくは時価純資産方式(法人税等控除方式)またはデイスカウントキャシュフロー法で計算された株価で合意されるケースが大部分です。

株式公開の資本政策を考える場合には、アーリーステージの場合と公開が近づいて第三者割当増資をする段階では採用する方式も異なってくるのが一般的です。

アーリーステージの株主割当増資の場合には、商法上も税法上も問題なく額面発行を認めていますから5万円/1株で(額面5万円の会社の場合)増資が可能です(極端にいえば、1円/1株の無額面株式を株主割当増資することも現行の商法上可能ですが、個人的にはお薦めしません)。

アーリーステージで、役員や親族等に株主割当を行う場合には、商法および税法上の考慮が必要になります。赤字会社の場合には、税務上考慮すべき事項はあまりありませんが、成長著しい会社の場合には、財産評価基本通達に基づく評価が必要なります。また、その直後に第三者割当を実施してその価格と乖離がある場合にも問題となる可能性がありますので、早い段階での対策が必要です。

赤字会社の場合には、税務上の制約が少ないためこの段階で新株引受権付社債を発行するなど将来の公開に向けた早い準備と検討が必要になります。

公開が近づいて第三者割当増資をする段階では、日本証券業協会例示の開示対象期間中の株価算定方式に基づいて、理論的にも公開時の株価を考えて実務的にも妥当な価格を算定する必要があります。

 
 

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中小企業金融安定化特別保証制度の改正

平成10年10月に制定された中小企業金融安定化特別保証制度は、平成12年4月に改正されました。改正の要旨は次のとおりです。

  • 金額:保証融資枠を10兆円追加
  • 期限:融資期限を2001年3月末まで延長
  • 追加要件:建設的努力を事業改善計画に示す

すでに従来の特別保証制度にて融資を受けている場合でも、保証限度額5,000万円までは、この制度の保証による融資残高との差額について、追加して融資申込みをすることは可能です(実質的には、保証協会の審査による)。

改正された特別保証制度を利用する場合には、事業改善計画書(所定の用紙がある)を提出する必要があります。

また、従来のネガティブリスト(実質的に倒産状態にある場合等一定の事由に該当する場合には保証承諾できない)要件は、変更されておりません。

 
 
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